1年間滞在したカナダ、アルバータでのレジデンスの成果展で、ギャラリーフロア全体を使ったインスタレーション。ありふれる風景を構成する構造物の形とそれらが見せるイメージの関係とを写真と段ボールやものを使って再構成する形で、見えているのに見えていない、私たちの「背景」に対して可視化させていく試み。物質をもったイメージである写真というメディアを、インスタレーション空間の中で物質をもったイメージ効果的に関係性を持たす事が出来るかが課題の一つだった。
カナダのエドモントンの街でピザボックスの箱でスケートする映像作品。ストリートのスケーター達が街で見せるトリックは私達が何に囲まれているのかを的確にそれを指し示している。実感のない風景、当たり前であるがゆえに盲目的である私たちの背景に対して、彼らは焦点を作り出しているのだ。この映像は彼らの街へのアプローチを題材に、この私たちが囲まれている盲目的な無意識の風景に対し、ピザの箱でトリックを決める事でその領域を可視化していく試み。
ある任意のドラマのワンシーンをストーリーとは全く関係のない物を用い、人形劇のように強引に擬人化して演じさせた映像作品。作家によって無理やり背負わそうとされる物語と、それとは全く繋がりの無い物達との関係性を、寄り添ったり、関係性の無さを強調して突き放したりしながら揺さぶっていく。無自覚に物語の中にいる私達がその物語から離れ、ものをありのままに見ることが困難であるように、擬人化し物語に取り込ませようとする際に失われてしまうある種の客観的な視点の獲得を試みる。