TVなどでの街頭インタビューを観ていると、インタビューする側とされる側にある種の力関係が生まれていることに気付かされる。カメラを突然向けて記録しながら、自分の考えや価値観について話させるという街頭インタビューの持つある種の暴力性や不自然さは、カメラという特殊な関係性の装置によってより強調され引き出されているのだろう。また、インタビューされる人は何を求められているかを察知し、それに答える自分がどう映るのかを考えながら話す為、どこかで聞いたかのような正しさの模範のような回答を聞くことができる。そこには私達が無意識に引き寄せられる物語の気配を感じずにはいられない。カメラの視点の所在を交換して露わにし、意図的にその関係性を揺さぶる事で、この街頭インタビューの不思議な構造にフォーカスを当ててみる。